【特 集:理想のリサイクルシステム・技術のあり方を考える――リサイクルシステム・技術研究部会活動報告――】
リサイクルに関するLCA研究の整理
稲 葉 陸 太*


【要 旨】 廃棄物学会リサイクルシステム・技術研究部会の「リサイクル技術・システムの評価に関するWG」は,ライフサイクルアセスメント(LCA)やリスク評価の観点から,リサイクルに伴う様々な環境影響の統合的な評価手法のあり方を示すことを目標としている。2002年度の活動としては,廃プラスチックと有機性廃棄物のリサイクルに関するLCA事例の比較・検討を行った。LCAの結果に大きく影響する要因としては,各種パラメータ,アロケーション方法,評価範囲,有害物質の考慮,地域性の考慮および輸送プロセスの評価方法などが抽出された。信頼性の高いデータを一般的に共有するための課題としては,評価の設定条件の明確化,引用したデータの数値および出典の明示,廃棄物や再生製品に由来する有害物質の評価,再生資源・製品の品質の評価および需給バランスの分析などが抽出された。


キーワード:LCA,リサイクル,廃プラスチック,有機性廃棄物
廃棄物学会誌,Vol. 14, No.6 pp.321-332, 2003
原稿受理 2003.9.25
* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
バイオリサイクル工学(クボタ)講座 助手
連絡先:〒060-8628 北海道札幌市北13条西8丁目