【論  文】
海面埋立処分場における焼却灰の・脱・分級埋立工法に関する基礎的研究
古 賀 大三郎*・島 岡 隆 行*・宮 脇 健太郎*・戸 田 泰 和**・花 嶋 正 孝***


【要 旨】 海面処分場において,埋立処分する焼却灰による環境汚染リスクを埋め立て以前に減少させ,環境安全な埋立地盤を造成する新しい埋立工法(溶脱・分級埋立工法)の開発を行っている。本工法は,焼却灰中に含まれる溶解性の重金属類を焼却灰から海水へ積極的に溶出させる溶脱工程(スラリー輸送)と埋立地盤の環境リスクを低減するために,焼却灰を粒径別に分けて埋立処分する分級埋立工程から構成されている。
 水中に焼却灰を投入し,スラリー輸送に伴う攪拌と同じ攪拌強度で機械攪拌した結果,焼却灰を構成している付着粒子の分離が5分程度でほぼ完了すること,および焼却灰に含有するCr(Y)の溶脱をスラリー輸送時の液固比を大きくすることにより促進できることを示した。さらに,攪拌後に分級した焼却灰の重金属溶出濃度を測定した結果,2mmふるいに残留した焼却灰からは重金属の溶出が定量限界値以下となり,環境汚染リスクの低い埋立地盤を造成するには2mmの粒径にて分級することが望ましいことが示された。


キーワード:海面埋立処分場,焼却灰,スラリー輸送,溶脱・分級,環境汚染リスク
廃棄物学会論文誌,Vol. 14, No.6, pp.334-342, 2003
原稿受付 2002.9.20  原稿受理 2003.9.2
*九州大学大学院 工学研究院 附属環境システム科学研究センター
**五洋建設(株)
***福岡県リサイクル総合研究センター
連絡先:〒812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1
九州大学大学院 工学研究院 環境システム科学研究センター 古賀 大三郎