【論文】


廃棄物層の安定化問題に関わる場の把握の重要性――廃棄物層における浸透水の流動と性状に関するケーススタディ――
香 村 一 夫*・山 崎 康 廣*†


【要 旨】 一般廃棄物最終処分場の一部を実験サイトとし,廃棄物層内における浸透水の挙動および性状について検討した。検討方法は,廃棄物層内に設置したストレーナ深度の異なる3本の観測井における浸透水の水位と水質の時系列的追跡,および比抵抗探査を用いた浸透水の賦存形態の把握による。その結果,この実験サイトの廃棄物層には宙水(通気帯中に分離された局所的な地下水体)が存在すること,この宙水ゾーンとその下位に賦存する浸透水ゾーンの水質に若干相異が認められること,などが判明した。この結果は,浸出水集排水管から排出される浸出水質の変化を調べて廃棄物層の安定化を検討する手法に対して,層内における浸透水の挙動とその性状を考慮にいれる必要性を示唆している。


キーワード:一般廃棄物最終処分場,安定化,浸出水,浸透水,比抵抗
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.1, pp.11-18, 2004
原稿受付 2003.1.30  原稿受理 2003.9.25
* 千葉県環境研究センター
*† [現 千葉県環境生活部]
連絡先:〒290-0046 千葉県市原市岩崎西1-8-8
千葉県環境研究センター 廃棄物・化学物質部 香村 一夫