【論文】

ヒラタケ菌糸体生長試験法によるコンポストの品質評価判定
岡 元 満 美*・池 田   顕**・牛久保 明 邦*


【要 旨】 有機性廃棄物の処理方法として,コンポスト化による農業資材利用が一般的である。コンポストの原材料が多様化した今日では,普遍的に用いることができる評価法がないことから,粗悪品が流通し利用者が実害を受ける等の問題が発生している。これは,有機性廃棄物のリサイクルが伸び悩む原因の一つと考えられる。
これらの問題解決のために新たな品質評価の方法として,ヒラタケ菌糸生長試験による評価法の開発を試みた。これは,発酵日数の異なる各種のコンポスト試料を含む培地上の中央にヒラタケ菌糸体を接種し,室温保存しながら経時的に菌糸体の生長速度を測定し,その生長速度の差によってコンポストの品質を判定する方法である。その際,ヒラタケ菌糸生長試験と同時にコンポスト試料およびコンポスト水抽出液の化学成分分析ならびに従来の品質評価法としてコマツナによる発芽試験も併せて実施し、総合的に判断しヒラタケ菌糸生長試験法の有効性を確認した。


キーワード:ヒラタケ,コンポスト,有機性廃棄物,品質評価,生育阻害物質
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.1, pp.28-36, 2004
原稿受付 2001.11.26  原稿受理 2003.10.1
* 東京農業大学国際食料情報学部 国際農業開発学科
** 東京農業大学大学院農学研究科 国際農業開発学専攻
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東京農業大学国際食料情報学部 国際農業開発学科 岡元 満美