前処理を変化させたセメント系固化材改良土の六価クロム溶出特性
川 口 正 人*・浅 田 素 之*・堀 内 澄 夫*・堀 尾 正 靱**
【要 旨】 セメントおよびセメント系固化材には六価クロムが含まれており,地盤改良工事などに固化材を使用した場合,条件によっては改良土から土壌環境基準を超える濃度で溶出するおそれがあり,国土交通省では使用に際しての措置について関係機関に通知している。ついては室内配合し事前に安全性を確認した上で実施工に着手しているが,溶出を抑えるため固化材の配合等に関する検討事例は少ない。そこで著者らは地盤改良工事に際して求められる溶出試験について,前処理における乾燥方法の違い,土質・材料の変化等の影響に関して室内実験により検討した。その結果次の事項を得た。発現強度と溶出低減効果は相関性が低い。ロームに比べシルトは六価クロムの保持能力が高く,低い溶出性を示す。改良地盤の乾燥や酸化を防ぐことにより溶出性を抑えることができる。還元性を高めた固化材は溶出を抑える効果がある。風乾と40℃乾燥の溶出試験結果には良い相関性があり,試験配合検討時間を短縮でき,風乾法を補完する方法として利用が可能と考えられる。
キーワード:地盤改良工事,六価クロム溶出試験,セメント系固化材,酸化還元電位,前処理方法
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.1, pp.37-44, 2004
原稿受付 2001.11.28 原稿受理 2003.10.30
* 清水建設(株)技術研究所
** 東京農工大学大学院 生物システム応用科学研究科
連絡先:〒135-8530 東京都江東区越中島3-4-17
清水建設(株)技術研究所 川口 正人