【特 集:廃棄物系バイオマスの利用】
家畜ふん尿利用のバイオガスプラントの課題
松 田 從 三*

【要 旨】 北海道には,現在約30ヶ所の家畜ふん尿用バイオガスプラントが建設され,近年急激に農家の注目を浴びている。これは,「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」と「バイオマス・ニッポン総合戦略」の影響が大きい。家畜ふん尿用バイオガスシステムには,本質的な問題はないことが,今までの経過から明らかになった。重要なことは消化液の利用とバイオガスの利用である。これが活用されないとバイオガスプラントの利点が出てこない。
わが国で家畜ふん尿用バイオガスシステムが成立するためには,1.家畜ふん尿などバイオマス系廃棄物の処理に関して環境規制を厳しくする,2.再生可能エネルギーによる電力の買い取り優遇施策をとる,3.地球温暖化防止などの見地から,エネルギー政策として再生可能資源の利用促進を進める,4.環境税の導入などにより再生可能エネルギーを相対的に安価にするなどの政策が必要である。

キーワード:バイオガスプラント,炭酸ガス排出,浄化,消化液
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.2 pp.70-76, 2004
原稿受付 2004.2.13
* 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
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