【特 集:廃棄物系バイオマスの利用】
廃棄物系バイオマスの利活用プロセスの開発
木 田 建 次*・森 村   茂*・重 松   亨*

【要 旨】 わが国においては,約2億8千万tonもの生物系廃棄物(廃棄物系バイオマス)が排出されているが(2000年度),最終処分地の残余年数が問題となっている。この対策として,2010年までに現在,最終処分地で処理されている量を3,750万tonまで半減しようとの方針が打ち出された。しかし,この目標を達成するためにはリサイクルだけでなくリデュースも重要とされている。そこで,われわれは廃棄物系バイオマスを利活用するために,カスケード型を念頭にバイオマスの性状を考慮して,バイオテクノロジーを駆使したマテリアルおよびサーマルリサイクルに関する研究を実施してきた。開発した技術のほとんどは既知のものであるが,その組み合わせによりオリジナリティを持たすことができる。わが国が持続的に成長していくためには,地域に密着した技術を結集し,サーマルだけでなくマテリアルリサイクルも含めた資源循環型社会を構築し,地域の活性化,延いては地球温暖化防止に貢献していく必要がある。

キーワード:バイオマス,利活用,リデュース,機能性,メタン発酵,資源循環型社会,地球温暖化防止
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.2 pp.77-88, 2004
原稿受付 2004.1.20
* 熊本大学工学部物質生命化学科
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