【特 集:廃棄物系バイオマスの利用】
ポリ乳酸生産を基軸とした都市生ごみのトータルリサイクルシステム
酒 井 謙 二*・白 井 義 人**

【要 旨】 わが国において生ごみを含む食品関連廃棄物は約2,000万ton/年排出されているが,そのうちの半分以上を占める一般事業系および家庭系の生ごみのリサイクル率は低い。本稿では,都市生ごみ糖質からの循環プラスチック,ポリ-L-乳酸を生産することを柱とし,さらに副生産物の利用も組み込んだトータルリサイクルについてのわれわれの提案を紹介する。また,本システムでは,リサイクルによるエネルギー増加と環境影響のみでなく,持続型産業としての経済性も最大限考慮して設計を行ったが,循環型社会の形成を目指すための重要な概念としてその意義を考える。

キーワード:生ごみ,都市ごみ,ポリ乳酸,循環プラスチック,リサイクルシステム
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.2 pp.89-96, 2004
原稿受付 2004.1.23
* 大分大学工学部 応用化学科
** 九州工業大学大学院 生命体工学研究科
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