熱重量分析を用いた一般廃棄物の熱分解挙動のモデル化
姫 野 修 司・弥 富 洋 介・小 松 俊 哉・藤 田 昌 一
【要 旨】 一般廃棄物処理において,ガス化溶融処理技術の普及が進んでいるが,エネルギーのさらなる有効利用や最適な運転条件の検討のためには,廃棄物組成と熱分解挙動との関係の把握が必要である。本研究では,一般廃棄物を代表的な化学物質に置き換え,熱分解挙動のモデル化を検討した。まず,組成調査から,セルロース,キシラン,リグニン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,二酸化ケイ素を一般廃棄物を構成する代表物質として決定し,これらの熱重量曲線(TG曲線)をモデル化した。また,これらの混合試料のTG曲線を測定し,各単一成分の熱分解モデルを加成することで混合物のTG曲線のモデル化も可能であることを確認した。さらに微粉砕した一般廃棄物や廃棄物固形燃料のTG曲線も代表物質の加成によってモデル化が可能であり,モデルにより求まった組成比は実際の組成とおおむね一致したことより,組成による熱分解挙動の違いを把握することが可能であると考えられた。
キーワード:一般廃棄物,熱分解挙動,ガス化溶融処理,熱重量分析
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.2, pp.105-113, 2004
原稿受付 2003.3.13 原稿受理 2003.12.5
* 長岡技術科学大学 環境・建設系
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長岡技術科学大学 環境・建設系 姫野 修司