【特 集:エコデザイン】
IT社会のエコデザイン
藤 本   淳*

【要 旨】 安全で豊かな低カーボン(二酸化炭素排出が少ない)社会のビジョンをわかりやすい形で提示し,実現に向けた道筋を具体化することは,持続可能社会形成への貢献,および社会に活力を与える点で重要である。ここでは,エコデザインの新しい概念を提唱し,その適用例として“IT社会の環境調和設計”の取組みを紹介する。ここで提唱するエコデザインとは,環境・経済面からの定量評価をベースに(ファクトファインディングとベンチマーク),目的指向のトップダウンアプローチと,従来の技術指向型ボトムアップアプローチとを適切に融合することで,製造・生産技術,ビジネスモデル,そして社会システムまでを,環境と経済の両面より最適化し,新たな付加価値の創造を目指すものである。この概念を用いて,「循環型IT社会」の設計図を示す。
キーワード:エコデザイン,IT,トップダウンアプローチ,地球温暖化対策,エコライフ

廃棄物学会誌,Vol. 15, No.3 pp.107-114, 2004
原稿受付 2004.3.25
* 東京大学先端科学技術研究センター
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