【特 集:エコデザイン】
家電リサイクルとエコデザイン
上 野   潔*

【要 旨】 家電リサイクル法の定着により日本は,環境適合設計の分野でも世界に先駆けたブレークスルーを体験している。家電各社の製品アセスメントは,机上の理論ではなくリサイクルプラントで得られた経験を反映している。従来の生産技術が易分解性の観点から見直され始めている。安定的に回収される使用済み家電製品のプラスチックを新たな家電製品に使用する「自己循環型」のマテリアルリサイクルも芽生えている。これらの第2世代の環境適合設計は,環境情報公開によって一層促進されるようになった。しかし,環境適合設計は常にトレードオフである。現状ではリサイクル困難な部材もある。環境影響物質の代替材料が多く使用されるようになっている。材料に関する科学的なリスク評価の重要性が高まっている。

キーワード:家電リサイクル法,環境適合設計,製品アセスメント,再生プラスチック,リスク評価
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.3 pp.115-122, 2004
原稿受付 2004.3.2
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