【特 集:エコデザイン】
アップグレード設計方法論
梅 田   靖*・近 藤 伸 亮*

【要 旨】 エコデザインで重要なことは,製品ライフサイクル全体の視点から,安定して無理のない循環を設計することである。エコデザインの一つの大きな課題は,価値寿命により廃棄される製品の長寿命化であり,その解決方法は,脱物質化などのリデュースとアップグレードしかない。ソフトウェアと違い,ハードウェア製品ではアップグレードは一般に困難であり,その設計方法論は殆ど検討されてこなかった。本稿では,エコデザインの中でのアップグレードの位置づけを整理するとともに,アップグレード設計方法の基本的な考え方を紹介する。具体的には,アップグレード設計の基本操作として「独立化」と「余裕付加」を,アップグレード設計の最大の課題である将来の不確実性に対応するための方策として「遅延決定」と「プラットフォームの拡大/縮小」戦略を紹介する。最後に,簡単なケーススタディとして掃除機のアップグレード設計例を示す。

キーワード:アップグレード,エコデザイン,3R,価値寿命,設計方法論
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.3 pp.141-148, 2004
原稿受付 2004.4.9
* 東京都立大学大学院工学研究科機械工学専攻
連絡先:〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1