【論文】

大学におけるリサイクル市の中断,再起および継続運営に関わる要因分析
井 山 慶 信・竹 田   慶・早 瀬 光 司


【要 旨】 多くの大学で「リサイクル市」が実施されているが,継続阻害要因が多数存在し広島大学でも2000年に一時中断した。過去の運営データを収集し分析した結果,スタッフ不足による「肉体的疲労」の増大,来場者殺到による「精神的疲労」の増大,疲労の大きさに対する「満足感・達成感」の不足という三点の継続阻害要因が示された。この三点への対策として「スタッフ募集の強化」「来場者の分散」「寄付という新たな目標の設定」を行い2001年にリサイクル市を再起した。スタッフ数増加により肉体的疲労は軽減され,寄付という社会貢献の実施により満足感・達成感も向上したが,来場者殺到による精神的疲労は改善されなかった。そこで2002年は「抽選方式による購入」や「購入者を学生に限定」など改善策を導入し精神的疲労も解決することができた。広島大学での分析結果を基に他の大学でも参考となりうるリサイクル市継続運営チェックシートも作成できた。


キーワード:リサイクル市,リユース,阻害要因,継続運営,大学
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.3, pp.208-214, 2004
原稿受付 2003.9.27  原稿受理 2004.2.10
* 広島大学大学院 生物圏科学研究科
** 広島大学 総合科学部
連絡先:〒739-8521 広島県東広島市鏡山1-7-1
広島大学大学院 生物圏科学研究科 早瀬研究室 井山 慶信