ホタテガイ廃棄物燃焼排ガスに含まれるカドミウムの鉱物粒子による分離除去
義 家 亮・橋 本 雄 貴・星 合 麻 里・上 宮 成 之・西 村 誠・守 富 寛
【要 旨】 水産加工残渣の一種であるホタテガイ中腸腺(以下中腸腺)はカドミウムを高濃度で含む廃棄物として知られている。本研究では,中腸腺焼却処理における最適な脱カドミウムプロセスの確立を目指し,その一つの指針を示すための基礎データ取得を目的として,中腸腺加熱時のカドミウム放出挙動およびカオリナイト粒子を捕捉剤として利用した排ガス中気相カドミウムの分離除去について実験的検討を行った。その結果,中腸腺中カドミウムは600℃を超える温度域で排ガスへの放出を開始し,850℃の酸素希薄燃焼条件下でほぼ全量が揮発することがわかった。また,中腸腺中に含まれる有機揮発分はカオリナイト粒子によるカドミウム捕捉を阻害することが確認された。さらに鉱物粒子による充填層と流動層の両条件によるカドミウム捕捉性能の比較を行い,事前に有機揮発分を除去した試料を用いた場合に,捕捉剤流動層によって最大80%のカドミウム捕捉率を得た。
キーワード:ホタテガイ中腸腺,カドミウム,排ガス処理,捕捉剤,カオリナイト粒子
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.3, pp.215-223, 2004
原稿受付 2003.9.19 原稿受理 2004.2.16
* 岐阜大学工学部
** 岐阜大学大学院工学研究科
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岐阜大学工学部 人間情報システム工学科 義家 亮