【特 集:無機系廃棄物のリサイクルと資源回収】
無機系廃棄物の再資源化
――環境浄化材料への転換――
三 宅 通 博*・松 田 元 秀*

【要 旨】 ごみ焼却飛灰と溶解ダストの環境浄化材料への転換を検討した。前処理として水洗処理および800℃加熱処理を施した焼却飛灰をNaOH存在下,180℃で水熱処理を行うことにより,トバモライトに転換できた。さらに,前処理として水洗処理,800℃加熱処理に続き塩酸処理を施した焼却飛灰をNaOH存在下,60〜120℃で水熱処理を行うことにより,ゼオライトAおよびPに転換できた。得られた転換物質は,有害陽イオン除去性能を有することがわかった。溶解ダストにおいては,NaOH存在下,100℃程度で水熱処理を行うことにより,溶解ダスト中のスピネルナノ結晶[(MnxZn1−x)(MnyFe1−y)2O4]に由来するH2S除去性能を向上させ,優れたH2S除去剤に転換できた。

キーワード:再資源化,ごみ焼却飛灰,溶解ダスト,水熱処理,環境浄化材料
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.4 pp.189-195, 2004
原稿受付 2004.5.3
*岡山大学 環境理工学部
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