【論文】

摂取量段階でのPCB廃棄物処理事業の費用効率性評価
平 井 康 宏・酒 井 伸 一


【要 旨】 PCB廃棄物処理事業の費用効率性を既往対策(廃棄物焼却炉ダイオキシン類対策事業)と比較した。比較には,同一の環境運命・曝露モデルによって算出した摂取量削減量あたりのコストを用いた。対策コストは既報の値を用い,摂取量削減量は既報の放出量削減量をモデルの入力として,環境運命・曝露モデルによって推定した。評価期間は,現世代にとっての費用効率性という視点から,30年間とした。PCB処理事業による摂取量削減量の上限は,大気放出削減時0.8g-TEQ,水系放出削減時5.7g-TEQ,土壌放出削減時1.6g-TEQと推定され,焼却炉対策事業での摂取量削減量は3.5〜11g-TEQと推定された。また,摂取量削減量あたりコストはPCB処理事業で0.27〜1.9億円/mg-TEQ,焼却炉対策で0.67〜2.1億円/mg-TEQと同程度となった。PCB処理事業は焼却炉対策と同程度の費用効率性を有するといえる。


キーワード:リスク,PCB管理,ごみ焼却,事業評価,分解費用,曝露モデル
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.4, pp.237-245, 2004
原稿受付 2003.10.6  原稿受理 2004.2.18
* (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 平井 康宏