食品残渣のマダイ用飼料化システムの開発と事業採算性の検討
池 田 由 起*・石 塚 譲・入 江 正 和・亀 岡 俊 則・石 渡 卓・鈴 木 孝 彦・松 田 行 雄
【要 旨】 都市域で発生する多様な食品残渣の中から,おから,寿司残渣,練り製品残渣を原料として選択し,これらを気流乾燥機で乾燥した後,回収魚アラから造られたアラミール等を添加して,マダイ用ペレット飼料を製造し,その成分を把握した。この食品残渣配合マダイ用ペレット飼料(以下,リサイクル飼料と略す)の効果を調べるために,63日間養殖マダイに給与して,マダイの成長等に及ぼす影響について,市販マダイ用配合飼料と比較検討した。その結果,リサイクル飼料は,市販配合飼料に劣らない効果を持ち,マダイの養殖に利用可能であることがわかった。食品残渣の乾燥・ペレット製造工程を最適化した食品残渣配合マダイ用ペレット飼料化システムにおける製造コストを試算し,本システムの事業採算性を検討した。リサイクル飼料生産量6ton/日において,IRR(Internal Rate of Return)=10%となるリサイクル飼料の販売価格は,市販ペレット飼料と同程度となった。
キーワード:食品残渣,気流乾燥機,マダイ用ペレット飼料,給餌試験,事業採算性
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.4, pp.246-255, 2004
原稿受付 2003.9.2 原稿受理 2004.2.26
ゾネ・フラウ環境研究所
大阪府立食とみどりの総合技術センター
大阪府立水産試験場
現在(財)大阪府漁業振興基金栽培事業場 鈴木事務所
(株)近畿環境興産
現在 宮崎大学農学部食料生産科学科
現在 (財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所
連絡先:〒599-8272 大阪府堺市深井中町877-3
ゾネ・フラウ環境研究所 池田 由起