都市ごみ処理における生ごみ分別処理の効果
田 原 聖 隆・稲 葉 敦・坂 根 優・小 島 紀 徳
【要 旨】 現状システムでは大部分が可燃ごみとして焼却処理されている生ごみは,含水率が高く可燃ごみの発熱量低下の原因となる。生ごみの分別処理を行うことにより,残りの可燃ごみを高効率での発電が可能となると予測される。そこで本報告では,LCA手法を用いて,可燃ごみ中の生ごみを分別した処理システム(集約型/分散型コンポスト化,集約型メタン発酵,ディスポーザ)と,現状システムとの処理時に排出されるCO2排出量の比較を行った。また,発電効果,コンポストの肥料代替効果をも考慮に入れて,システム全体のCO2排出量を比較した。その結果,分散型コンポスト化以外の処理ではCO2排出量の削減が確認された。分散型コンポスト処理でCO2排出量の増加をもたらした原因は,一次発酵の際に多くの都市ガスを使用することが明らかになり,熱源の確保が必要であることがわかった。また,ごみ処理時に使用される用役消費により排出されるCO2排出量(ごみ起因の排出を除く)はごみ発電による電力代替効果,および肥料製造代替効果で相殺されることが明らかになった。以上により生ごみ分別処理の優位性が明らかになった。
キーワード:CO2排出量,生ごみ,都市ごみ,LCA
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.4, pp.276-282, 2004
原稿受付 2003.1.23 原稿受理 2004.3.10
*(独)産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター
** 成蹊大学工学部応用化学科
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(独)産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター 田原 聖隆