埋立15年間における乾電池の腐食と水銀移動
柳 瀬 龍 二・平 野 文 昭・松 藤 康 司・花 嶋 正 孝
【要 旨】 本研究は小型埋立実験槽を用いて15年間にわたって,水銀を含む使用済み乾電池の埋立実験を行い,実験槽を定期的に逐次解体し,埋立地内での乾電池の腐食状況や水銀の移動状況を検討した。
埋立実験を行った乾電池の腐食は,埋立2年間が埋立構造の違いによる浸出水の水質と,乾電池の保持電圧による影響が大きい。保持電圧が消費された後は埋立の長期化が腐食の寄与率を高くした。また,乾電池中の水銀は浸出水への流出は認められなかったが,気化水銀として流出し廃棄物層へ移動していた。しかし,埋立実験槽内の水銀は埋立15年後も,乾電池周辺の中層域が高く,上・下層へ移動しにく
い傾向が認められた。
キーワード:乾電池,腐食,水銀分布,水銀移動,埋立構造
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.4, pp.283-293, 2004
原稿受付 2003.9.16 原稿受理 2004.3.9
* 福岡大学工学部 社会デザイン工学科
** 福岡県リサイクル総合研究センター
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福岡大学工学部 社会デザイン工学科 柳瀬 龍二