【特 集:遺伝子レベルのバイオアッセイ】
女性ホルモンを見つける植物
東 條 卓 人*・津 田 賢 一*・和 田 朋 子*・山 崎 健 一*

【要 旨】 形質転換シロイヌナズナを用いて,エストロゲン活性を持つ物質を検出する簡便で安価な方法を開発した。作製した形質転換シロイヌナズナの細胞内では,常時,キメラエストロゲン受容体とキメラ転写コアクチベーターの2種のエフェクターおよび,エフェクター間のエストロゲン依存的な相互作用によって転写が活性化されるレポーター遺伝子が存在している。われわれはこれを「植物ツーエフェクターシステム」と名付けた。このシステムは,寒天培地中に存在する50pM(約13pg/mL)の17β-エストラジオールを検出できるだけでなく,エストロゲン様物質であるジエチルスチルベステロール,p-n-ノニルフェノール,ビスフェノールA,ゲニステインなどを検出することもできた。

キーワード:エストロゲン受容体,形質転換シロイヌナズナ,内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン),バイオアッセイ,レポーターアッセイ
廃棄物学会誌,Vol. 15, No.5 pp.247-253, 2004
原稿受付 2004.7.16
*北海道大学大学院地球環境科学研究科・環境分子生物学講座
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