【論文】
粒径別に分画した飛灰におけるポリ塩化ビフェニルおよびクロロベンゼン類の再合成挙動
高 岡 昌 輝*・谷 垣 信 宏*†・武 田 信 生*・藤 原 健 史*
【要 旨】 一つの飛灰を粒径により分画することで,組成に特徴のある飛灰が得られることに注目し,飛灰中のポリ塩化ビフェニル(PCBs),クロロベンゼン類(CBzs)の濃集粒径に関する情報と飛灰加熱時のPCBs, CBzsの挙動とを結びつけ,飛灰におけるPCBs, CBzsの再合成への支配的因子の影響を明らかにすること,および飛灰粒径ごとのPCBs, CBzsの濃度分布の生成原因を解明することを目指して,飛灰粒径,温度および雰囲気を変えて加熱実験を行った。その結果,金属触媒や未燃炭素のPCBsおよびCBzs生成への寄与率は温度によって一定ではなく,反応温度によってその寄与率が変化することが示唆された。また,同族体分布は飛灰粒径によっては変わらず,PCBsおよびCBzsの生成機構に飛灰粒径による違いは見られなかった。雰囲気による生成能に関しても飛灰粒径による違いが見られず,HClの有無がPCBsおよびCBzs生成に与える影響は小さかった。
キーワード:ごみ焼却飛灰,飛灰粒径,PCBs,未燃炭素,生成機構
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.336-346, 2004
原稿受付 2003.9.10 原稿受理 2004.4.19
*京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻
*† 現在 新日本製鐵(株)プラント・
環境事業部環境プラントプロジェクト部
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻 高岡 昌輝