【論文】
汚染土壌中での有機塩素系溶剤液体の気化・拡散挙動の解析
小 林 剛*・松 島 由 佳**・浦 野 紘 平**
【要 旨】 テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機塩素系溶剤の液体で汚染された土壌での汚染の拡大を予測したり,土壌ガス吸引(真空抽出)法で効率的な浄化を行うために必要な,液体の気化特性および蒸気の拡散特性を測定,解析した。土壌中で液体が気体となる速度は非常に速く,通気すると接触時間1.1秒以内に飽和濃度となることがわかった。これより,土壌中に有機塩素系溶剤が液体として存在する間は,その深さにストレーナーを設けて流量を大きくして浄化することが有効であることが示された。また,土壌の種類によらず土壌中での気体の有効拡散係数は,分子拡散係数の約0.17倍,屈曲係数は1.8〜2.5となることがわかった。
キーワード:気化,拡散,有機塩素系溶剤,屈曲係数
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.347-352, 2004
原稿受付 2003.9.22 原稿受理 2004.4.21
*横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター
**横浜国立大学大学院 環境情報研究院/学府
連絡先:〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5
横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター 小林 剛