【論文】
廃棄物産業連関分析の動学的拡張
横 山 一 代*
【要 旨】 廃棄物処理を介して産業の生産部門や家計部門などの経済の動脈部門と廃棄物処理部門や環境負荷排出部門などの静脈部門の間には相互依存関係がある。このような相互依存関係を分析したものとして文献1)の廃棄物産業連関表(WIO)がある。しかし建築物のような数十年の寿命を持つ耐久財
は,生産された期において資本ストックとして固定され,寿命を終えた後に廃棄物に変換される。このような生産から廃棄まで時間差を伴うような財についてはWIOのような静学モデルにおける分析には不向きな点がある。このことを踏まえて,本研究は動脈部門と静脈部門との間の財と廃棄物の時間差をもった循環について考え,廃棄物産業連関表の動学的な拡張を試み,建築物のような数十年の寿命を持つ耐久財の流れがもたらす経済・環境負荷の大きさを試算する方法の一提案を行う。
キーワード:廃棄物産業連関分析,動学化,固定資本ストック,耐久財
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.372-380, 2004
原稿受付 2003.6.4 原稿受理 2004.6.11
*東北大学大学院環境科学研究科
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