【論文】
1日1回給餌操作での生ごみの高温メタン発酵特性に関する研究
洪 鋒*・津 野 洋**・日 高 平**・千 智 勲**
【要 旨】 本研究では,生ごみを処理し,エネルギー源であるメタンガスを生産するために,55℃の条
件での高温メタン発酵を適用した。人工生ごみを基質として完全混合型リアクターを用いて,1日1回給餌方式で連続実験を行った。安定なメタン発酵の状態である時には,pHは7.5〜8.0の間に維持された。無希釈生ごみを処理対象として,有機物負荷率が16.2kgCOD/(m3・d)という高負荷条件下で高温メタン発酵を実現できた。有機物負荷率変動が1.7倍以下であれば,系は良好に応答した。CODcrをベースにすると,生ごみの80%以上がメタンガスになり,生ごみの有機性部分1gVSあたり0.4〜0.5Lのメタンガスが発生した。反応器混合液中のアンモニア性窒素濃度が2,000mgN/Lを超えるとメタン発生への阻害が生じ始めた。
キーワード:高温メタン発酵,生ごみ処理,1日1回給餌操作,メタンガス生成速度,汚泥返送
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.381-388, 2004
原稿受付 2003.12.8 原稿受理 2004.6.15
*京都大学大学院工学研究科環境工学専攻,CREST of JST
**京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻,CREST of JST
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院工学研究科環境工学専攻 洪 鋒