【論文】
環境意識の特には高くない通常の事務系オフィスに対し,環境配慮行動を促した時の行動変容
謝   双 玉*・早 瀬 光 司*・井 山 慶 信*・壁 谷 彩 代**・金   載 分*・鄭   桓 〓*


【要 旨】 環境意識の特には高くない通常の事務系オフィスを実験系として,1995年から2002年までの8年間の系に対する物質収支を環境面から継続実態調査として測定した。その測定時や測定後にいくつかの点について事務所に環境配慮行動をするように促し,どのような行動変容があるかを現場実験として明らかにした。うら紙については事務所の自発的なうら紙ボックスの設置とうら紙の使用という行動変容が起きたが,再生紙はほとんど購入されることはなく紙ごみもほとんど資源化分別されなかった。うら紙使用については社員の入れ代わり,事務所の配置による影響があると考えられた。コピー機,プリンター,デスクトップパソコンについては環境配慮行動の促しにより使用電力量が削減できたが,ノートパソコンについては増加した。コピー機,プリンター,デスクトップパソコンのように間歇的に使用するものは節電に取り組みやすく,ノートパソコンのように半継続的に使用するものは行動変容を起こしにくい傾向のあることがわかった。


キーワード:行動変容,プロンティング法,フィードバック法,現場実験
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.389-397, 2004
原稿受付 2003.4.12 原稿受理 2004.6.24
*広島大学大学院生物圏科学研究科
**広島大学総合科学部
連絡先:〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1
広島大学総合科学部  早瀬 光司