【研究ノート】
超臨界水と炭素含有物との反応による炭酸ガス固定型水素系ガス回収
林 昭 二*・井 口 義 章**
【要 旨】 炭素含有物として固形化燃料RDFを用いて消石灰Ca(OH)2存在の下で亜・超臨界水条件下(温度400〜650℃,200〜300気圧)にて金属製密閉管状容器内(7cm3)にて等温反応実験を遂行した。反応生成ガスは少量のメタンを含む水素ガスであった。触媒(NaOH or KOH)添加は生成ガス量をかなり増大させた。KOHがNaOHよりも2.4倍強い効果を示した。炭酸ガス固定化剤Ca(OH)2或いはCaOとも反応残査物中にはCa(OH)2とCaCO3のみを認めた。したがって,下記反応式に従って総括反応が進行したものと推察された。炭酸ガス固定化剤として製鋼スラグを用いて,触媒KOH存在の下で全発生ガスモル数は最大でRDF中炭素モル数に対して1.27倍であった。
C+H2O+Ca(OH)2=CaCO3+2H2
キーワード:炭素含有物,亜・超臨界水,水素ガス,炭酸ガス固定化剤,触媒
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.429-433, 2004
原稿受付 2003.9.22 原稿受理 2004.4.21
*名古屋工業大学大学院 工学研究科物質工学専攻 ながれ領域
**名古屋工業大学大学院 工学研究科物質工学専攻 つくり領域
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名古屋工業大学大学院 工学研究科物質工学専攻 ながれ領域 林 昭二