【研究ノート】
担持Pd触媒上での4-クロロビフェニルとクロロベンゼンの脱塩素反応
浮 須 祐 二*・宮 寺 達 雄*


【要 旨】 4-クロロビフェニルおよびクロロベンゼンの脱塩素反応を,水酸化ナトリウムを溶解した2-プロパノール中,担持パラジウム触媒(Pd/C, Pd/Al2O3)の存在下35℃で行った。反応物を単独で反応させると,クロロベンゼンの脱塩素初速度は,4-クロロビフェニルに比べ3.4倍速かった。これに対し,両反応物を等濃度になるように混合して反応を行うと,クロロベンゼンの反応速度は著しく抑制され,4-クロロビフェニルの反応速度を下回った。4-クロロビフェニルがクロロベンゼンより選択的に触媒表面に吸着することから,この吸着性の差異が競争反応での反応速度を決定する大きな要素であることがわかった。


キーワード:クロロビフェニル,クロロベンゼン,脱塩素,競争反応,パラジウム触媒
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.434-437, 2004
原稿受付 2003.11.10  原稿受理 2004.4.2
*(独)産業技術総合研究所 エネルギー利用研究部門
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(独)産業技術総合研究所 エネルギー利用研究部門  浮須 祐二