【研究ノート】
揮発性有機塩素化合物蒸気の任意含水率土壌への吸着平衡モデルと平衡吸着量の推算方法
小 林   剛*・清 水 優 子**・浦 野 紘 平**


【要 旨】 土壌中でのテトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機塩素化合物による汚染の拡大を予測したり,土壌ガス吸引(真空抽出)法で効率的に浄化を行える条件を予測するために,土壌への吸着性を明らかにする必要がある。本ノートでは,任意含水率の土壌についての土壌への揮発性有機塩素化合物の吸着機構を表すモデルと平衡吸着量の推算方法について検討した。任意含水率の土壌への気相からの吸着については,乾燥細孔への吸着分,湿潤細孔への吸着分,土壌有機物への吸着分,水への溶解分を考慮した吸着平衡モデルを提案し,乾燥細孔吸着割合γを用いることによって,各土壌,各物質の平衡吸着関係を良く表せることを確認した。また,γは土壌の種類ごとに含水率との関係が数式化でき,任意含水率の土壌についての平衡吸着量の推算方法が提案できた。


キーワード:揮発性有機塩素化合物,土壌汚染,吸着平衡,含水率,乾燥細孔吸着割合
廃棄物学会論文誌,Vol. 15, No.5, pp.438-442, 2004
原稿受付 2003.11.10  原稿受理 2004.4.21
*横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター
**横浜国立大学大学院 環境情報研究院
連絡先:〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5
横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター  小林 剛