【論  文】
焼却飛灰に関する新しい焼成無害化プロセスの実証
松 野 基 次*・友 田 勝 博*・川 本 孝 治*・中 村   崇**

【要 旨】 都市ごみ焼却炉飛灰は特別管理廃棄物として指定されており,処分にあたっては無害化が義務づけられている。無害化技術としては特に無害化の信頼性および環境安全性が強く要求されている。また種々の溶融炉から生じるスラグ類は確実な活用を目指してさらなるリサイクル技術の開発が求められている。本研究では,都市ごみ焼却飛灰の処理およびスラグ類の混合処理に関し,製錬技術を応用した新しい無害化焼成技術を開発し,実証に成功したので報告する。具体的処理方法は,当該飛灰を成形後,ロータリーキルンにより焼成無害化するとともに,焼成物を有効活用しやすい材料として回収し,かつ二次飛灰を製錬二次原料化する。本技術の特徴は,焼成回収物が,環境安全性の高い,かつ強度が改善されたペレットとして得られ,さらに二次飛灰も山元還元できる点にある。試験は処理能力100kg/時間の試験設備を用いて種々の飛灰組成について行った。

キーワード:焼却飛灰,重金属塩化物揮発,リサイクル,焼成法,ロータリーキルン
廃棄物学会論文誌,Vol.15, No.6, pp.465-471, 2004
原稿受付 2003.9. 3  原稿受理 2004.7.24
*住友金属鉱山(株) エネルギー・環境事業部
**東北大学多元物質科学研究所
連絡先:〒105-8716 東京都港区新橋5-11-3
住友金属鉱山(株) エネルギー・環境事業部  松野 基次