【論 文】
覆土膜構造を有する廃棄物埋立地の安定化に関する研究
堀 直 子*・島 岡 隆 行**・宮 脇 健太郎**・崎 田 省 吾**・花 嶋 正 孝***
【要 旨】 近年,日本では新規の埋立用地の確保が困難であり,埋立地の延命化を目的に,覆土容積を低減させるための覆土代替材の開発が行われている。本研究では,覆土材が埋立廃棄物の安定化に与える影響を把握するため,埋立廃棄物の質変化および埋立廃棄物層からの浸出水の流出特性について着目した。本研究では,一般的な土壌による覆土,または古紙を有効利用した覆土代替材を施工した二次元大型埋立模型槽を用いて長期実験を行った。
土壌による覆土を施工した場合は埋立廃棄物層内で水分移動が水平方向に偏り,可溶性汚濁成分の洗い出しが遅れる部分が生じ,また有機汚濁成分の分解に必要な酸素の供給が十分でないことが明らかとなった。このため,廃棄物安定化の遅延の可能性が示唆された。また,覆土層厚が土壌の場合に比べて薄い古紙覆土代替材は,透水性に優れ,廃棄物安定化を促進する役割を果たすことが確認された。
キーワード:即日覆土,覆土代替材,古紙,浸出水流出特性,廃棄物安定化
廃棄物学会論文誌,Vol.15, No.6, pp.500-510, 2004
原稿受付 2004.4.15 原稿受理 2004.9.6
*九州大学大学院 工学府 都市環境システム工学専攻
**九州大学大学院 工学研究院 環境都市部門
***福岡県リサイクル総合研究センター
連絡先:〒812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1
九州大学大学院 工学研究院 環境都市部門 島岡 隆行