【論  文】
最終処分場浸出水から検出されるビスフェノールAとその起源に関する研究
坂 本 広 美*・福 井   博*・惣 田 c 夫**・金 子 栄 廣***

【要 旨】 神奈川県内に設置されている一般廃棄物および産業廃棄物の最終処分場浸出水および処理水に含まれるビスフェノールA(BPA)の濃度を測定した。一般廃棄物最終処分場浸出水中のBPA濃度は<0.05〜4,960μg/L,その処理水は<0.05〜19.8μg/Lであり,濃度が高かった処分場では,不燃ごみ・粗大ごみの破砕物と焼却灰を一緒に埋め立てていた。一方,産業廃棄物最終処分場浸出水中のBPA濃度は<0.05〜494μg/L,その処理水は<0.05〜55.2μg/Lであった。埋立廃棄物の繰り返し溶出実験結果から,検出されたBPAの多くが軟質の塩化ビニル樹脂(PVC)に由来し,降雨による洗い出しにより継続的に溶出する可能性が示唆された。また,焼却灰と不燃ごみ破砕物を混合した繰り返し溶出実験により,BPA溶出量の増加が確認された。以上のことから,浸出水中にBPAが検出された場合には,気象条件等により濃度の変動はあるものの,しばらくその状態が継続することが予想された。

キーワード:最終処分場,浸出水,ビスフェノールA,繰り返し溶出実験,塩化ビニル樹脂
廃棄物学会論文誌,Vol.15, No.6, pp.511-520, 2004
原稿受付 2004.5.27  原稿受理 2004.9.16
*神奈川県環境科学センター 環境技術部
**静岡理工科大学
***山梨大学大学院医学工学総合研究部
連絡先:〒254-0014 神奈川県平塚市四之宮1-3-39
神奈川県環境科学センター 環境技術部  坂本 広美