【研究ノート】
最終処分場の飛散ばいじん等の簡易確認方法の提案
福 井 博*・斎 藤 邦 彦*
【要 旨】 最終処分場におけるばいじん等の飛散を簡易に確認する方法を検討した。ばいじん等を水に捕集すると,ばいじん等に含まれる電解質成分により捕集水の電気伝導率が高くなることに注目し,電気伝導率をばいじん等の飛散の確認指標に利用することが可能か否か検討した。最終処分場内の5カ所に,イオン交換水を入れた容器を6週間設置し,捕集水の電気伝導率を測定した。一方,ばいじん等に多量に含まれる亜鉛,銅,鉛含有量からばいじん等の存在を確認するために,捕集水をろ過し,ろ紙上に残った固形物の亜鉛,銅,鉛含有量を調べ,それらが実験対象とした埋立地から飛散したばいじん等であることを確認した。ついで,捕集水の電気伝導率が10mS/m以上(対照地点の上限)の地点での捕集水の電気伝導率と,それに含まれる鉛の量から算出したばいじん等の量はよく相関していた。すなわち,これらはばいじん等に含まれる電解質が電気伝導率に反映することが示唆されている。これらの結果から,ばいじん等の降下場所や埋立作業場所の近くに容器を設置した場合には,ばいじん等の飛散の確認に,この方法が有用であるものとして提案する。
キーワード:最終処分場,ばいじん,飛散,電気伝導率
廃棄物学会論文誌,Vol.15, No.6, pp.525-528, 2004
原稿受付 2004.1.5 原稿受理 2004.8.30
*神奈川県環境科学センター
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神奈川県環境科学センター 福井 博