【論 文】
使用後プロセスにおける微量有害物質の拡散による環境影響予測を含めたリサイクルに関する研究
中 野 加都子*・和 田 安 彦**・大 島 裕 行**†
【要 旨】 これまでの製品の使用後プロセスでは,有価または純度の高い資源回収が優先され,製品に含まれる微量な物質は管理者が不明の状態で行方不明となってきたことが多い。有害な微量物質の蓄積は長期間にわたる環境汚染をもたらす可能性がある。そのため,微量物質が用いられることの多い電気電子製品分野では,微量物質の拡散を防ぐリサイクルシステムを構築していく必要がある。本論文はLCAをベースとしながら,微量物質がリサイクル,処理処分プロセス中で拡散する量を推算し,それらがもたらす有害性のポテンシャルをエネルギー消費関連の環境負荷と組み合わせて評価する手法を示したものである。複写機を対象とした事例においては,これまでのLCAで対象とされることの少なかった微量物質による影響を加えることによって,鉄重量の最も多いユニットである外装部鉄より,外装部プラスチックの方がリサイクルの優先度が高い可能性のあることを示した。
キーワード:微量有害物質,拡散,管理者,潜在的有害性強度,LCA
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.1, pp.1-12, 2005
原稿受付 2003.8.22 原稿受理 2004.9.22
*関西大学先端科学技術推進機構(神戸山手大学)
**関西大学工学部都市環境工学科環境システム研究室
**†現在 三井物産金属原料(株)自動車リサイクル推進部
連絡先:〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35
関西大学工学部土木工学科環境システム研究室 和田 安彦