【論 文】
木質系廃棄物を利用した強化型調湿炭に関する研究
中 西 亜貴夫*・玉 井 元 治*・棚 田 成 紀**・中 村 武 夫**・川 崎 直 人**
【要 旨】 木材の切削加工時に産出される木質系廃棄物を原料とした木炭から,塩類によって調湿機能を強化した調湿炭を誘導し,その性能を明らかにした。強化型調湿炭は通常の木炭とは違い「塩類による吸湿」「木炭による吸水」の二段階のプロセスを用いて調湿を行う設計がなされている。結果として従来の木炭の1.2〜4倍の調湿性能を示し,特に塩化カルシウムによって強化された調湿炭は,木炭の種類と粒径に関係なく高い調湿性能を示した。また繰り返し吸放湿試験において強化型調湿炭は,木炭の持つ繰り返し連続使用性を損なうことなく,シリカゲルなどの吸湿材より優れた持続性を示した。今後,リサイクル材料としての利用を促進することで木質系廃棄物のリサイクル率向上に寄与できると期待できる。
キーワード:木質系廃棄物,リサイクル用途開発,木炭,強化型調湿炭,吸湿・吸水の分業化
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.1, pp.13-19, 2005
原稿受付 2003.8.1 原稿受理 2004.10.4
*近畿大学理工学部
**近畿大学薬学部
連絡先:〒577-8502 東大阪府小若江3-4-1
近畿大学理工学部環境材料学研究室 中西亜貴夫