【総  説】
持続可能な埋立地をめざす早期安定化戦略――欧米における研究のレビューとわが国の位置付け――
松 藤 敏 彦*・田 中 信 壽*

【要 旨】 廃棄物の埋立に関して,わが国は準好気性埋立,豊富な降雨による洗い出し,無機物埋立など,欧米とは大きく異なっていると考えられている。本稿は,欧米における廃棄物埋立地安定化に関する研究を整理し,わが国の埋立の位置付けを考えた。
まず過去の研究を嫌気性分解の促進,有機物前処理,部分的好気性処理,洗い出しに分類した。その後欧米が標準とした封じ込め型埋立は,埋立地の安定化を促進する方向へ変化し,北米は埋立地内の分解を促進するバイオリアクター埋立地,欧州は廃棄物前処理による有機物の無機化,という異なった戦略をとろうとしている。しかしどちらも埋立地は次第に好気化に向かっており,他の方法もわが国ですでに実行されているものが多い。日本は欧米が現在目指している戦略をいち早く進んでいたといえる。

キーワード:埋立地,早期安定化,好気性処理,埋立前処理,持続可能性
廃棄物学会誌,Vol.16, No.1, pp.34-41, 2005
原稿受付 2004.10.29
*北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻 廃棄物資源工学講座
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻 廃棄物資源工学講座  松藤 敏彦