【論 文】
臭素・アンチモン系難燃性プラスチックの熱分解挙動
山 崎 泰 正*・小 澤 祥 二**・小 島 義 弘**・松 田 仁 樹**
【要 旨】 臭素・アンチモン系難燃性プラスチックのケミカルリサイクルのための基礎研究として,窒素雰囲気,水蒸気雰囲気において加熱温度573〜973Kでの熱分解実験を行い,臭素,アンチモンおよび炭素分の挙動について検討した。その結果,本実験条件下では,熱分解ガス中には水素やメタン,エタンなどの可燃性ガスが存在すること,さらに含有アンチモンの約90%,含有臭素分の約60%は液状生成物中に移行し,主にSbBr3の形態で存在することが明らかになった。また,液状生成物中の臭素の一部は1-ブロモエチルベンゼンなどの有機臭素化合物の形態で存在することが明らかとなった。加熱温度973K,水蒸気濃度40%の条件では,窒素雰囲気における熱分解と比較して有機臭素化合物の無機化が促進され,約80%の有機臭素化合物が無機化していることが認められた。
キーワード:難燃性プラスチック,臭素系難燃剤,三酸化アンチモン,熱分解,水蒸気
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.1, pp.35-43, 2005
原稿受付 2004.3.9 原稿受理 2004.10.13
*名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻
**名古屋大学難処理人工物研究センター
連絡先:〒464-8603 名古屋市千種区不老町
名古屋大学難処理人工物研究センター 松田 仁樹