【論  文】
ふん尿・食品残渣の中温および高温メタン発酵の性能比較に関する研究
小 川 幸 正*・藤 田 正 憲**・中 川 悦 光***

【要 旨】 京都府内の八木バイオエコロジーセンターにおいて,畜産ふん尿や食品残渣を対象に,中温発酵(37℃)と高温発酵(55℃)を並列運転している。本施設の約1.5年間の運転実績から,両発酵方式の性能に関して比較検討を行った。その結果,@有機物負荷が2.0kg/m3/日前後の負荷では,有機物の除去率はほぼ同等であり,A大腸菌群数や糞便性大腸菌数は,高温発酵が中温発酵に比べて除去効果が格段に高いこと,ならびにBバイオガスの単位発生量は,高温発酵が若干高かったことが明らかとなった。また,バイオガスの成分は,中温と高温の間に差がみられなかった。これらの結果より,ガス発生量,有機物除去については大きな差がみられなかったものの,メタン発酵の消化液を液肥として利用する場合は,衛生面から消毒効果の高い高温発酵が望ましいことが示された。

キーワード:メタン発酵,バイオガス発電,バイオガス,ふん尿処理,食品残渣処理
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.1, pp.44-54, 2005
原稿受付 2004.5.28  原稿受理 2004.10.13
*(株)大林組 エコロジーエンジニアリング部
**大阪大学大学院工学研究科
***京都府八木町農林振興課
連絡先:〒108-8502 東京都港区港南2-15-2
(株)大林組 エコロジーエンジニアリング部  小川 幸正