【特 集:海洋投入と汚染底質土】
有害物質に関する底質基準と底質対策
細 見 正 明*

【要 旨】 水中で生物濃縮性が高く,残留性が高い有害物質については,陸域からの侵入量を削減しても,長期にわたって底質が汚染源となり,魚介類に濃縮され,それらを摂食する人の健康に悪影響をもたらす。このため,水銀とPCBに関して昭和50年に底質の暫定除去基準が設定され,これまで1,500万m3以上の海域および河川底質が浚渫され,固化または封じ込め対策が講じられてきた。また平成14年にはダイオキシン類対策特別措置法に基づく水質の汚濁のうち水底の底質の汚染に係る環境基準が設定された。環境基準を超えるダイオキシン類汚染底質の対策に関する技術指針やマニュアルが整備されつつある。特にダイオキシン類汚染底質については,低コスト型の無害化技術の開発が強く望まれる。

キーワード:水銀,PCB,ダイオキシン類,底質,環境基準
廃棄物学会誌,Vol.16, No.2, pp.73-83, 2005
原稿受付 2005.2.23
*東京農工大学大学院 共生科学技術研究部 教授
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