【総  説】
都市ごみ焼却灰等の溶融処理の経緯と課題
藤 吉 秀 昭*

【要 旨】 わが国は廃棄物最終処分場用地の不足とダイオキシン類等の発生抑制を大きな理由に都市ごみの焼却処理率の向上とさらにその残渣である焼却灰・飛灰の高温溶融処理を推進してきた。循環型社会の形成を目指し3Rを促進すべきだが,それでも発生するごみの処理については熱回収をした後十分安定化したかたちで最終処分すべきである。この廃棄物処理の優先順位を念頭に置いた総合的廃棄物管理目標に照らした場合,多くのエネルギーを消費し処理コストも嵩む焼却灰等の高温溶融処理シナリオは妥当な選択かどうかが問われている。本稿ではこのような問題意識のもとわが国の溶融処理技術の基本的特徴,開発の経緯,技術課題,廃棄物総合管理戦略における位置付けについて情報の整理と考察を行った。

キーワード:都市ごみ,灰溶融炉,ガス化溶融炉,廃棄物総合管理戦略
廃棄物学会誌,Vol.16, No.2, pp.98-110, 2005
原稿受付 2005.1.24
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