【論 文】
廃棄電気電子機器回路基板の金属分離技術の検討
阿 川 隆 一*・西 田 稔*・次 田 泰 裕**・荒 木 孝 雄*・黒 豆 伸 一***
【要 旨】 廃棄プリント基板は,Cu,Au,Ag,およびPdなどの貴金属と環境に影響するCu,Cr,Pb,およびBrなどの有害な元素を含んでいる。したがって,プリント基板からの金属回収は,再資源化推進と環境保護の観点から重要である。本研究は,廃棄パーソナルコンピュータ中のプリント基板から資源を分離する方法に関して研究した。プリント基板を20mm×20mmのサイズに切断後,C,H,およびNなどの樹脂成分を除去するために873Kで加熱処理した。加熱処理後の基板は,ボールミルを用いて粉砕し,篩い分け,250μm以上の租粒は,磁力選別によって磁性物と非磁性物とに分離した。39mass%のCを含んでいる250μm以下の粉体は,95%Ar+5%O2雰囲気中で1,273Kの加熱処理し,加熱処理後の粉体は,塩基度を調整した後,97%Ar+3%H2雰囲気中で1,773Kの加熱処理をした。その結果,スラグと金属は分離され,基板に含まれる80%の貴金属が回収された。
キーワード:プリント基板,加熱処理,塩基度調整,分離プロセス
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.2, pp.163-172, 2005
原稿受付 2004.5.10 原稿受理 2004.12.20
*愛媛大学工学部
**住友金属鉱山(株)
***住友重機械工業(株)
連絡先:〒790-8577 松山市文京町3番
愛媛大学工学部 西田 稔