【論  文】
バイオ資源・廃棄物の賦存量分布と温室効果ガスの視点からみた厨芥利用システム解析
酒 井 伸 一*・平 井 康 宏*・吉 川 克 彦**・出 口 晋 吾**

【要 旨】 バイオ資源・廃棄物等について,各市町村の統計データを基に賦存量を推定し,資源品目毎に1自治体あたりおよび1人あたり賦存量と人口規模との関係を整理した。農産系・林産系・畜産系バイオマスでは人口規模が小さいほど1人あたり量や累積賦存量(一定の人口規模の自治体での総量)が多くなるのに対して,廃棄物系バイオマスでは逆の傾向を示すことが明らかになった。また,厨芥類を対象として,燃料電池でのバイオガス利用を含む4つの処理シナリオを設定し,人口規模小の地域(農村部)および人口規模大の地域(都市部)をモデルに温室効果ガスを評価項目としたケーススタディを行った。焼却や堆肥化と比較してメタン発酵によるバイオガス回収・発電利用はCO2排出量が少ないこと,燃料電池はガスエンジンよりもCO2削減効果が大きいこと,農村部と都市部の違いがシナリオの評価に影響することが示された。

キーワード:バイオマス,賦存量,生ごみ,燃料電池,LCA
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.2, pp.173-187, 2005
原稿受付 2004.6.28  原稿受理 2005.1.17
*(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
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(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 平井 康宏