【特 集:埋立地再生にむけた技術開発・調査研究の現状】
欧米における埋立地再生の現状
井 上 雄 三*・ブレント・イナンチ*

【要 旨】 本論文では欧米諸国の再生事業の経緯,背景,事業成果をまとめた。アメリカとヨーロッパでは埋立地再生の事情が微妙に異なっていた。アメリカは人口の多い北東部を中心として,埋設ごみの資源化再利用と容量増加による経済的メリットを実現可能性の評価項目とした。一方,ヨーロッパは,不適正処分場の修復の一つの選択肢と位置づけて事業が進められた。その結果,アメリカでは1997年において40ヶ所の再生プログラムが進行していた。ヨーロッパでは不適正処分場対応であるから再生事業へ繋がる例はアメリカほど多くはなく,エミッション削減が優先された。欧米諸国の事例紹介をとおして,複数の再生目的が達成される場合に実現可能性が高くなること,掘削前の廃棄物層の好気化による安定化促進がポイントになること,熱回収型再生事業が実現可能性,容量増加効果が大きいことが示された。

キーワード:埋立地再生,サイトキャラクタライゼーション,掘削,容量増加,環境影響
廃棄物学会誌,Vol.16, No.3, pp.161-169, 2005
原稿受付 2005.4.19
* (独)国立環境研究所
連絡先:〒305-8506 つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所  井上 雄三