【論  文】
廃棄物焼却排ガスからの半・難揮発性有機ハロゲン化合物の排出実態
三 宅 祐 一*・加 藤 み か**・浦 野 紘 平**

【要 旨】 廃棄物焼却排ガスからは塩素のみが結合したダイオキシン類のほかに,フッ素,塩素,臭素,ヨウ素が混合して結合したダイオキシン類などの半・難揮発性有機ハロゲン化合物が排出されている可能性がある。しかし,これらの化合物の排出実態はほとんどわかっていない。そこで,実際の廃棄物焼却施設10施設の排ガスについて半・難揮発性有機ハロゲン(SNVOXs)濃度を測定し,半・難揮発性有機ハロゲン化合物の排出実態を調査した。その結果,半・難揮発性有機臭素(SNVOBr)や半・難揮発性有機ヨウ素(SNVOI)が半・難揮発性有機塩素(SNVOCl)の0.02〜1.4倍存在していた。このことより,塩素のみが結合している化合物だけでなく,塩素,臭素,ヨウ素が混合して結合している半・難揮発性有機ハロゲン化合物が無視できない量排出されている施設が存在することが示唆された。なお,SNVOCl中のPCDDs/PCDFs/PCBs由来の塩素の割合は1.4mol%以下にすぎなかった。

キーワード:半・難揮発性有機ハロゲン(SNVOXs),有機臭素化合物,有機ヨウ素化合物,ハロゲン化ダイオキシン類,廃棄物焼却排ガス
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.4, pp.245-255, 2005
原稿受付 2004.8.30  原稿受理 2005.3.10
* 横浜国立大学大学院 環境情報学府
** 横浜国立大学大学院 環境情報研究院
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保土ヶ谷区常盤台79-7 総合研究棟407
横浜国立大学大学院 環境情報学府 浦野・亀屋研究室  三宅 祐一