【論 文】
薬剤処理された木質廃棄物からの触媒調製
大 竹 哲 也*・宍 戸 昌 広*・安 藤 則 男**・小 林 正 男***
【要 旨】 現在建築廃木材の大部分が,再利用されることなく埋立てなどにより処理されている。これは廃木材の中に有害な成分を含む薬剤で防腐処理を施されたものが混入しており,その分別が困難なためである。防腐剤の中で最も問題視されているものがCCA薬剤である。CCA薬剤は銅(Cu),クロム(Cr),ヒ素(As)の化合物を含み,これらが木材のセルロースなどの多糖類と結合し,水に難溶な化合
物を構成して木材の腐食を防いでいる。
本研究ではCCA薬剤中に含まれている銅およびクロムが触媒に用いられていることに着目した。そしてメタノールの水蒸気改質反応を対象としCCA処理木材を炭化した場合の触媒活性,および触媒担体としての可能性を検討した。その結果CCA処理木材を炭化しただけでは含まれる金属濃度が低いために触媒活性はほとんど見られなかったが,担体として用いた場合は木材への金属水溶液の含浸,炭化,賦活といった簡単な処理により触媒活性を発現する材料が得られることを確認した。これにより,CCA処理木材など難処理物の分別を必要としない建築廃木材再利用の可能性が見いだされた。
キーワード:CCA処理木材,廃木材,リサイクル,触媒担体,木炭
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.4, pp.266-271, 2005
原稿受付 2004.9.13 原稿受理 2005.4.5
* 山形大学工学部 物質化学工学科
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山形大学工学部 物質科学工学科 宍戸研究室 大竹 哲也