【論 文】
コンポスト化における炭素と窒素の微生物利用
前 田 武 己*・松 田 從 三**
【要 旨】 コンポスト化において微生物に利用される炭素と窒素とを測定し,その変化と両者の比率,コンポスト内部の生成物について検討した。コンポスト化は,コーンスターチを炭素源,アンモニアを窒素源とする人工試料を用い,自己発熱によって試料温度を60℃または65℃に上昇させて最長10日間行った。
無機化された炭素量はコンポスト化期間中にやや直線的に増加したが,生成物に有機化される窒素は3日目までが多く,それ以後の変化は小さかった。このため,微生物に消費された炭素量と窒素量との比率は,コンポスト化の早期には10以下の低い値を示したが,同10日後では30以上に上昇した。また,生成物収率はコンポスト化の早期には40%以上の高い値を示すが,同10日後には約12%にまで低下した。コンポスト化中に微生物により消費された窒素は1.17gN・kgwet0-1(60℃)〜1.07gN・kgwet0-1(65℃)であった。
キーワード:コンポスト化,C/N比,微生物反応生成物,収率
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.4, pp.287-294, 2005
原稿受付 2004.9.11 原稿受理 2005.4.11
* 岩手大学農学部農林環境科学科
** 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 持続的生物生産領域
連絡先:〒020-8550 盛岡市上田3-18-8
岩手大学農学部 前田 武己