【論 文】
亜臨界水処理およびMAP法を用いた下水汚泥からのリン回収に関する研究
荒 金 光 弘*・今 井 剛*・村 上 定 瞭**・竹 内 正 美**・浮 田 正 夫*・関 根 雅 彦*・樋 口 隆 哉*
【要 旨】 現在,余剰汚泥(以下,汚泥と称す)の発生量は,下水道普及率の増加にともない,年々増大する傾向にある。一方,リンはわれわれの生活に欠かせない必須な資源であり,かつ世界的に枯渇が懸念されている。わが国においてリンは国外から大量に輸入しており,この多くが下水道に排出されている。汚泥からリンを回収するための手法の一つとして,可溶化技術がある。様々な可溶化技術が研究されており,亜臨界状態で汚泥を可溶化する水熱処理法(以下,亜臨界水処理と称す)を用いた技術もその一つである。本研究では,亜臨界水処理を用いて汚泥を可溶化させ,得られた可溶化液からMAP法によりリンを回収する実験を行った。この技術を用いることで,汚泥の可溶化率が80%程度まで達した。加えて,MAP法を用いて可溶化液からリンが94〜97%回収できることがわかった。
キーワード:亜臨界水処理,可溶化,余剰汚泥,リン回収,MAP法
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.4, pp.309-317, 2005
原稿受付 2004.12.7 原稿受理 2005.4.27
* 山口大学工学部社会建設工学科
** 宇部工業高等専門学校物質工学科
連絡先:〒755-8611 山口県宇部市常磐台2-16-1
山口大学工学部社会建設工学科 今井 剛