【論 文】
廃PETボトルのメカニカルリサイクルにおける品質低下物質の特定と除去法の確立
平 野 勝 巳*・金 濱 慶太郎**・印 南 雄 介*・星 野 麻 紀*・小 西 武 史***
・豊 田 成 紀****・菅 野 元 行*****・真 下 清*
【要 旨】 廃PETボトルを溶融,紡糸してポリエステル繊維等に再生する際,再生製品の変色や紡糸時に糸切れする問題が発生しているが,その原因物質と過程は明らかになっていない。そこで,廃PETボトルの洗浄処理,溶融処理と再生製品の品質低下の関連性について検討を行った。その結果,重合触媒の残留物,洗浄液,洗浄除去困難な不純物が変色の原因であり,これらが溶融時に酸化,発色すること,また混入無機物は紡糸時にフィルターの目詰まりを引き起こすことがわかった。
さらに,廃PETボトルの不純物を物理的に剥離する研磨の導入について検討を行った結果,洗浄除去困難な不純物を選択的に除去するとともに,無機物の除去に効果があることが明らかになった。これらから,既存リサイクルプロセスに研磨を導入することにより,発色原因物質,混入無機物を低減した高品質,高付加価値再生PET製品が製造できる見通しが得られた。
キーワード:廃PETボトル,メカニカルリサイクル,不純物除去,研磨
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.4, pp.325-332, 2005
原稿受付 2004.7.16 原稿受理 2005.5.6
* 日本大学理工学部物質応用化学科
** 日本大学大学院理工学研究科
*** オール・ウェイスト・リサイクル(株)
**** 日本アイリッヒ(株)
***** 日本大学短期大学部応用化学科
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日本大学理工学部物質応用化学科 平野 勝巳