【論  文】
都市ごみのセメント原料・燃料化による二酸化炭素排出量への影響
佐 野   奨*・加 藤   晃**・飯 野 智 之**・柏 崎 伸 夫** ・松 藤 敏 彦*・田 中 信 壽*

【要 旨】 遊休キルンを活用して都市ごみをセメント資源化する方法としてAKシステムが開発されている。本論文は,そのエネルギー消費量,CO2排出量および埋立廃棄物発生量への影響を従来の焼却,埋立処分と比較した。都市ごみの処理方法をAKシステムへ変更することにより埋立廃棄物削減のみならずエネルギー消費量が抑制され,それに伴ってCO2排出量が削減される。この効果はセメント中の塩素許容量を緩和すると増大し,特に塩素量が既に高いセメントへの利用において顕著であった。また,可燃ごみ・不燃ごみのほか粗大ごみ,資源ごみ処理残渣もAKシステムでセメント原燃料として活用し,これらから発生する埋立ごみをゼロとする際の効果も推定した。

キーワード:都市ごみ,二酸化炭素,エネルギー,最終処分量,セメント原燃
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.5, pp.333-341, 2005
原稿受付 2004.7.23  原稿受理 2005.5.16
* 北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻 廃棄物処理工学分野
** 太平洋セメント(株)
連絡先:〒285-8655 千葉県佐倉市大作2-4-2
太平洋セメント(株) 中央研究所セメント技術T  佐野 奨