【論 文】
好気性可溶化プロセスを適用した生ごみの二相式メタン発酵特性
――好気性可溶化プロセスの評価――
坂 本 勝*・鈴 木 昌 治**・李 玉 友***・野 池 達 也****
【要 旨】 本研究では,食品廃棄物の処理として有用である,好気性可溶化プロセスを適用した二相式メタン発酵システムについて,好気性可溶化レベルや二相式メタン発酵の適用に関する評価をおこなった。可溶化液の粒子径の計測結果から,平均粒子径は86μmであり,他の可溶化方法と同じレベルであることがわかった。回分実験による生ごみ溶解液と酸生成液のメタン発酵特性の比較から,酸生成液の方がバイオガスおよびメタンガス生成量ともに多く,バイオガス中のメタンガス割合も大きかった。好気性可溶化プロセスを用いて生ごみを処理する場合,単相式より二相式メタン発酵の方が効率良いことがわかった。PCR-DGGE法により細菌相を調べた結果,生ごみ溶解槽と酸生成槽では微生物の機能分離が成立し,各槽の細菌間では共代謝していることが確認された。
キーワード:生ごみ,好気性可溶化プロセス,二相式メタン発酵,粒子径,PCR-DGGE
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.5, pp.369-377, 2005
原稿受付 2004.10.4 原稿受理 2005.5.24
* 三機工業(株) 技術開発本部研究開発部
** 東京農業大学応用生物科学部醸造科学科
*** 東北大学大学院工学研究科 土木工学専攻
**** 日本大学大学院総合科学研究科
連絡先:〒242-0001 神奈川県大和市下鶴間1742-7
三機工業(株) 技術開発本部研究開発部 坂本 勝