【論  文】
有機物循環システムの評価
――山形県長井市レインボープランを事例として――
楠 部 孝 誠*・細 野 智 之**・植 田 和 弘***・内 藤 正 明****

【要 旨】 循環型社会に向けて,多くの企業や団体が廃棄物の再資源化に取組んでいる。特に,有機廃棄物の再資源化については,食品リサイクル法を契機に食品製造業,流通業を中心に積極的なリサイクルが行われている一方で,家庭の生ごみは法律の適用外にあることもあり,ほとんど再資源化が進んでおらず,持続的に運営できている事例も少ない。
 本研究では家庭の生ごみを対象にした再資源化事例の中でも全国に先駆けて取組まれた山形県長井市のレインボープランを包括的に分析することで,家庭の生ごみの再資源化の今後の方向性について検討した。最初に,事業全体のマテリアルフロー分析を行うことによって,循環システムの成立要因を整理し,その結果,関係する主体への影響を環境面・経済面・社会面から評価した。さらに,循環システムの構築が地域に与える意義と課題を検討し,今後の発展について考察した。

キーワード:有機物循環,レインボープラン,環境評価,コスト分析,社会評価
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.5, pp.409-418, 2005
原稿受付 2004.11.1  原稿受理 2005.6.16
* 科学技術振興機構
** 日本工営(株)
*** 京都大学大学院経済学研究科 同地球環境学堂
**** NPO法人循環共生社会システム研究所
連絡先:〒606-8386 京都市左京区新丸太町42
NPO法人循環共生社会システム研究所  楠部 孝誠